直木賞とジャニーズであること

 

もうすぐ芥川賞直木賞の選考会。

 

そろそろ今回の芥川賞直木賞の予想など

本好きの方々がブログなどに書き始めている。

 

 

今回は私にとっては特別な日。

 

加藤シゲアキの9年間の努力が

報われるかもしれないから。

 

だけど今回もやはりそう来たか、の日々。

 

「ジャニーズに忖度」だの、

「ジャニーズにこの賞を持って行かれるのか」

だの、

「絶対無理、もし取ったら直木賞を信用しない」だの。

 

正直驚きが隠せない。

 

本好きの方々ってこういう作者が誰なのか、

そんなことを考えながら本を読んでるのか。

 

一人の方のブログが流れてきた。

 

この方は「オルタネート」の装丁に惹かれて

今まで読む気が起きなかったのにもかかわらず

読んでみたら面白くてほぼ一気読みした、と。

 

表紙の装丁のホログラムのことや、

内容的にもいい感想を書いてくれていた。

 

以下、この方の文章ちょっと引用されてもらいます。

 

 

「ひとことだけ余計なことを書きますが、小説ファンには是非色メガネを外して読んで欲しいと思っています。

逆に、加藤ファンやNEWSファンのみなさんには、直木賞をとってもとらなくても、少し静かにしていた方が一般の小説ファンの受けはよくなるかもということを伝えたいデス。

各サイトのレビューがファンのカキコミだけで埋まってしまうと、小説ファンがしらけてしまいますからね。

読者を少しでも増やすためにも、加藤氏のためにも、どうか冷静に。」

 

 

…え?

 

 

もうひとつ、石田衣良さんのYouTube

 

「第164回直木賞大予想!
2連勝後の今回が一番難しかった
直木賞はジャニーズにいくのか?
初候補6作を完全解説」

 

…え?

 

 

私ははっきりと言えるほど

加藤シゲアキのファンだ。

 

だけどそれだけではない。

 

私は大学は文学部だったし、

小さい頃から本だけは不自由しないで読めた。

 

「本だけは買ってあげる、どんなものでもいい。とりあえず文字を読みなさい。」

 

うちの母はそういう人だった。

 

母の妹である叔母は

長く書店に勤めていて

旦那さんは書道関係の雑誌の編集長だった人。

 

私の兄もバイトは書店だった。

 

そして長男も大学生の頃、ブックオフでバイトしていた。

 

要するに本は

私にとってはとても身近で

なくてはならないものだ。

 

何が言いたいかっていうと

NEWSファンにも本好きはいます、ってこと。

 

思い起こすと

2017年に

Twitter文学賞」という

一般の人が投票して決める文学賞があり、

その時には

「チュベローズで待ってる」

が大賞になったのだが、

投票期間中にシゲ担さんがシゲに投票することを呼び掛けて問題になった。

 

結局シゲちゃん本人がブログで

「投票しないでほしい」

「こんな形で賞を取っても嬉しくない」

と言ったことと

呼び掛けたシゲ担さんと

主催者さんが直接お話をして

お互いの誤解があったことを確認した、と

報告があった。

 

結局それでも

「チュベローズ」が大賞となったが、

主催者側がシゲアキさんの本をとても褒めてくれたことで事態は収束した。

 

だけど私は釈然としないままだった。

 

ジャニーズのタレントで

世の中の人々に知られている

加藤シゲアキ

彼が書いた小説が素晴らしいので

読んでほしい、と思った。

 

投票した動機はそれだけだと思う。

 

(誤解されるのは嫌なので言うと

私はTwitter文学賞の投票はしていない)

 

確かに投票を呼び掛けたことは

このTwitter文学賞にとっては

眉を顰めるものであったとは思う。

 

だけど

偏見と色メガネで見ているのは、

多くの文学ファンのほうではないのか。

 

小説は

例えば悩んでいる時に

ちょっと背中を押してくれるものであったり、

自分とは全く違う世界に行けたり、

あり得ないことが起こったり、

反対に

いつもの自分の日常を切り取ったようなものだったり、

共感できるものであったり、

 

自分の見解を広げてくれたり、

いろんな人の考え方を学んだり、

そういうものだと思っている。

 

そして

そういう色々な考えや

性的マイノリティのことすらも

認めることが出来る機会を自ら求めているのが

本を好きな人だと思っていた。

 

なのに

ジャニーズのタレントだというだけで

読む気がなくなるだと?

 

だから

なるべく静かにしてろ、と?

 

 

 

 

私は

多分この先もずっと

加藤シゲアキのファンだと思うので

二度と小説ファンの皆さんのサイトにいったり、

自分の感想を書き込む、なんてことは

絶対にしないと決めた。

 

 

今回の直木賞の候補作を

全部読んで

自分の呟きやブログにあげている

そういう加藤シゲアキファンも

たくさんいる。

 

間口としてシゲアキさんの小説から入って

それ以外にもどのジャンルでも

読めるようになったファンは多い。

 

だけど私は

どうにも釈然としないのだ。

 

こうした想いを

シゲちゃんはずっと感じて

でもそれをも抱き締める覚悟で

小説を書き続けていることを考えると

私はファンとしてなんとも言えない

やり切れなさを感じる。

 

今回の直木賞

どんなに誹謗中傷を受けるかわからないから、

心の準備をしておこう、というファンもいる。

 

こんな状態で喜べるのだろうか。

 

 

結局

当の本人である

加藤シゲアキさんが喜ぶのであれば

それでいいのではあるが、

彼も

「こんなにファンの皆さんが喜んでくれることがうれしい」

と言ってくれるような人。

 

攻撃の刃を抱き締めるほど

私はまだまだ人間が出来てないんだろう。

 

本当は

「文句あるなら読んでからにしろ」

と言いたい。

 

本来なら言いたいことがあり過ぎる。

 

だからむしろ黙っていることに決めた。

 

粛々とその日を待ちたいと思う。